XやInstagramなどの各種SNSやインターネット上には以下のような文句で仕事を募集していることが少なくありません。
「簡単に稼げる」
「誰でも即日に大金を!」
「やることは簡単」
これらのような広告を目の当たりにすると、ついつい、どのような内容なのか気になってしまいますよね。結論から申しますと、こういったいかにも怪しい広告は、怪しい副業や闇バイトを募集しているケースが多いです。
一方で一般バイトとの区別が付けづらい募集も増えており、不本意ながらに闇バイトに手を出して犯罪やトラブルに巻き込まれることもあります。
今回は、身近に潜む闇バイトの種類や誤って応募しないための見分け方などについて解説していきます。
闇バイトとは
闇バイトとは、具体的な仕事内容を明かさず、高額な報酬を引き換えに犯罪実行者を募集するバイトのことです。身近にあるSNSやネット掲示板で簡単に応募できてしまいます。
特殊詐欺と呼ばれることもあり、犯罪に加担する行為です。
2022頃から闇バイトに関連する犯罪が増えてきており、特殊詐欺という単語は誰しも聞いたことのある言葉になりつつあります。
SNSやネット掲示板で簡単に応募できてしまうため、知らずの内に犯罪に加担していたということにもなりかねません。
ちなみに、令和5年だけでも7,000件を超える闇バイトが検挙されています。
身近に潜んでいることを意識し、バイトを探す際は、特に注意しましょう。
闇バイトはSNSで募集されていることが多い
冒頭でも少し触れましたが、闇バイトはSNSやネット掲示板などで募集されていることが多いです。
一般的な求人メディアでは、審査が厳しかったり、掲載できなかったりしますが、SNSでは簡単に募集できてしまいます。
SNSを利用する人は多いでしょう。また2ちゃんねるのような掲示板も愛用者が多数います。
意図せぬまま闇バイトに手を出すこともあるため、甘い話に安易に乗るのは危険です。ちなみに、闇バイトで逮捕された人の半数程度はSNS経由で応募したことがきっかけとなっています。
以下の4つの事項は特に疑いの目を向けましょう。
いきなりDMで勧誘される
SNSでよくあるパターンが、知らない人からいきなりDMで勧誘されるパターンです。
こういう人は、誰彼構わずDMを送っています。
「誰でも稼げる仕事ありますよ~」
「私も実践して月50万円以上が簡単に稼げてしまう」
などのように甘い言葉で誘惑してきます。こういったDMがいきなり来たら、絶対に乗らないようにしましょう。
「数打てば当たる」の考えなので、どこの誰だか分からないような人から来たDMは要注意です。
また、通常を装い、数通DMでのやり取りをして自然と闇バイトの話題にもっていかれ、勧誘されることもあります。
闇バイトとしてよく利用されるSNSは、XやInstagram、FacebookやiMessageなどです。
ストーリーや写真投稿が派手なアカウントは注意
ストーリーや写真投稿が派手なアカウントは、要注意です。
もちろん、派手なインフルエンサーも沢山います。
ただ、闇バイトの募集をしているアカウントも派手なものが多いです。
目立たせるために派手にし、興味を引き付けています。
現実味が薄い投稿や、やたらとお金を意識させる派手な投稿を繰り返しているアカウントは安易に信用しないようにして下さい。
高額な報酬は怪しむほうがいい
報酬が異常に高く設定されているものも要注意です。
一般的な職種の時給を大きく上回るほどの高額な報酬を提示している求人は、闇バイトの典型的な特徴といえます。
高額な報酬にはしっかりとした理由があります。誰もやりたがらないことや犯罪に加担するようなことです。
「時給1万円、日給10万」
「一日の作業時間は数分」
「○○するだけでOK」
など、これらのような言葉を並べて仕事内容を明かさない求人は、無視しましょう。仕事内容が不透明なのにもかかわらず、魅力的な金額を求人情報として公開しているものは、闇バイトである可能性が非常に高いです。
SNS以外に掲示板でも募集している
SNS以外にもコミュニティサイトや掲示板で闇バイトを募集しているケースもあります。
特にお金関係の掲示板は要注意です。
仕事内容が書かれていなく、ただ稼げるなどの甘い言葉を並べている求人には手を出さないようにしましょう。
「短期間で稼ぎたいから稼げるバイトがしたい」という心理を利用して言葉巧みに誘惑してきます。
闇バイトに使われる掲示板サイトは、主にジモティーや爆サイなどがあります。
ジモティーも爆サイもサイト自体に問題は全くないですが、良からぬことに利用する人も一定数いるということを認識しておきましょう。
闇バイトにある仕事内容
ここまで闇バイトの特徴について解説してきましたが、その仕事内容も多岐にわたります。
怪しい求人と感じられる文言であり、仕事内容が以下と重なっているときは闇バイトかもしれないので警戒が必要です。
求人情報を曖昧に記載し、一般的なバイト求人に紛れ込ませているものも多いため、求人応募は慎重に判断しましょう。
かけ子・受け子・出し子
かけ子(掛け子)・受け子・出し子とは、オレオレ詐欺や架空請求金詐欺が代表的で、被害者への電話や金額の受取など役割が分けられています。
それぞれの役割は下表の通りです。
名称 | 役割 |
かけ子 (掛け子) | 振り込め詐欺で被害者に電話を掛けて騙す役 |
受け子 | 被害者と直接会い金品やキャッシュカードを受け取る役 |
出し子 | 被害者から騙し取ったキャッシュカードから現金を引き出す役 |
「荷物の受取のみ」「電話を掛けるお仕事!」などと記載し、いかにも配送業関係やテレアポ関係の仕事のように思わせます。
いずれの役割も犯罪に加担することになります。
「電話を掛けるだけで10万以上?」などのように、少しでも怪しいと感じる場合は、応募しないことをおすすめします。
運び屋
運び屋とは、違法薬物や犯罪に利用されるアイテムを指定の場所に運ぶバイトです。
運び屋は、度々、ドラマや映画、漫画などでも出てくる単語のため、なんとなく知っているという人も多いでしょう。
運送業のバイト募集に紛れ込ませることが多いです。
中身を知らずに違法な物品を配送した場合でも犯罪者になるため、要注意です。
さらに、運び屋に応募した場合、保証金という名目で数十万円請求されることもあります。お金を支払った後は一切連絡が取れなくなるケースもあるため、詐欺被害に遭うなんてことにもなりかねません。
配送関係の仕事を探している場合は、名の知れた運送会社の募集に応募するようにしましょう。
全く知らない運送業者の場合は、よく調べてから応募の判断をして下さい。
出会い系・マッチングサイトのサクラ
出会い系やマッチングサイトの「サクラ」は、皆さんも聞いたことのあるなじみ深い言葉ではないでしょうか。
主に、女性のフリをして、出会い系やマッチングサイトに登録し、男性とメッセージのやり取りをするのがサクラです。やり取りを長引かせて男性にお金を支払わせるのが目的です。
多くの出会い系やマッチングサイトは、女性は無料でも男性が有料の場合がほとんどです。お金を支払わないとメッセージ内容を確認できません。
サクラの報酬はメッセージ送信1件につき、数円~数十円が相場のため、手当たり次第に送っている人も多いです。
サクラは詐欺罪に問われることがあります。安易な気持ちでやらないようにしましょう。
美人局
美人局(つつもたせ)とは、男女が事前に打ち合わせをして行う、恐喝及び詐欺行為です。
目標の男性と女性が肉体関係をもったところでパートナーの男性が乗り込んで金銭を要求するというものです。
賭博でのイカサマ行為を意味する筒持たせが語源とされています。
美人局で最も使われる手口は、出会い系やマッチングサイト、掲示板などをです。最近では、SNSを利用して美人局にはめる手口も増えています。
飲み屋で知りあって誘惑するパターンや未成年を利用するパターン、逆美人局(女性が標的)など手口もパターンも多種多様です。
強盗
強盗は、他人の自宅や店舗、銀行やお店などに入り、暴力及び恐喝行為をした上で財産や金品などを奪う行為です。
「叩き」という隠語が使われており、強引に特定の場所に侵入してする犯罪行為です。
闇バイトで募集しているのはほとんどが捨て駒です。監視カメラの性能が非常に高いため、身元も判明しやすくなっています。そのため、実行犯だけが逮捕され、主犯は身元が分からず、おとがめなしのケースも少なくありません。
決して行ってはいけない闇バイトです。
万が一強盗中に誰かにけがを負わせてしまったり、死なせてしまったりした場合は、「強盗致傷罪」「強盗殺人罪」などに科せられることもあります
口座売買
口座売買とは、自分や他人の通帳及びキャッシュカードを売買する行為です。
意外に知られていないですが、口座の売買は犯罪行為で、掲示板やSNSでは高額で取引されています。
口座売買は、売り側だけではなく、買う側も犯罪です。また、直接的に口座売買に関与しなかったとしても、関わりが少しでも見つかった場合は、罪に問われます。
売買した口座は、振込詐欺や投資詐欺に悪用される危険もあるため、罪に罪を重ねることになります。
スマホの契約代行
スマホの契約代行とは、実際に自分が使うわけでもないのにスマホを契約することです。
販売店からスマホを騙し取る行為に該当し、詐欺罪に問われます。
SNSやネット掲示板で携帯の契約関係の募集があった際は、スマホの契約代行の闇バイトである可能性が高いです。
販売店から騙し取ったスマホは、転売に使用されることがほとんどです。また、契約した携帯の購入費用や利用料金は、契約者が支払わされることもあるため、自分自身が詐欺に遭ってしまうことにもなりかねません。
パチンコの打ち子
パチンコの打ち子とは、一日中パチンコを打つバイトです。
パチンコ店の店長などが、売り上げを横領するために打ち子を雇う場合とお店がサクラとして打ち子を雇う場合があります。
出る台情報を打ち子に伝えて、他の客に出てると思わせてお金を回収するのも良くある手口です。
いずれにしても犯罪行為で、「業務上横領罪」や「窃盗罪」、又は、詐欺罪の実行犯として罪に問われます。
掲示板やSNSなどで、「パチンコを打つだけ」などと募集している場合は要注意です。
闇バイトへの応募を防ぐための見分け方
多種多様な闇バイトについて紹介してきましたが、聞いたことがあるものもあったのではないでしょうか。
「知らずの内に闇バイトに応募してしまった」又は、「闇バイトをしてしまった」ということにならないために、闇バイトへの関与を未然に防ぐための見分け方について解説していきます。
以下の3つは特に注意しましょう。
簡単に高額が稼げるような募集文言
「簡単に大金が稼げる」などのような募集文言を羅列しており、お金で興味を引こうとしているバイト募集は闇バイトである可能性があります。
通常では考えられないような高額な報酬を提示するのは闇バイトの大きな特徴の一つです。
お金は、簡単には稼げません。
高額報酬の代わりに犯罪に加担させられます。また、実際に自分が詐欺被害に遭うこともあります。
仕事内容の説明がざっくりすぎる
仕事内容の説明が不明瞭であいまいなものは注意が必要です。
通常、バイト募集の要項には、仕事内容など詳しく記載されていますが、闇バイトの場合は、高額報酬の記載はあるものの詳細が全く提示されていないことがほとんどです。
まずそういった怪しいバイト募集には引っ掛からない人が大半だと思いますが、一定数応募してしまう人がいるのも事実です。
高額報酬だけに目が行き、ついつい闇バイトに手を付けてしまいます。
いくら報酬が良くても仕事内容を把握できないものへの応募は慎重に判断しましょう。
連絡手段がSNSのチャット機能
闇バイトの場合、連絡手段がSNSのチャットやDMなどに限定されることが多いです。
通常のバイト募集では、応募後に電話やメールで連絡し合います。必要に応じ面接をおこなって正規に採用となります。
闇バイトでは、匿名性が高いことを理由にSNSを利用します。正体を隠しやすく、アカウントやメッセージの削除も簡単にできます。
SNS上だけでの連絡をしてくる場合は、闇バイトを疑いましょう。
闇バイトの求人は巧妙化している
闇バイトを募集するSNSの投稿が、一般求人と見分けがつきにくい文言で書かれているものが増えてきました。
以前までは、犯罪の内容を示唆する隠語が使われていることが多かったです。しかし、怪しいバイトの見分け方を学んでいる人が増えたため、募集要項も分かりにくく変わっています。
まだ記憶に新しい「ルフィ」と名乗る指示役などによる広域強盗事件により、闇バイトがより明るみに出ました。
闇バイトと分からずに応募してしまったとしても、やらなければいいのですが、断れなくなりやってしまうというパターンも増えています。
恐喝に近いような状況に追い込み、後には引けなくする業者もいます。
そのため、闇バイトの可能性が少しでもあると感じる求人には、応募は絶対にしないようにしましょう。
まとめ:闇バイトの可能性が少しでもあるなら絶対に応募しない
ここまで、闇バイトの特徴や仕事内容、見分け方などについて解説してきました。
簡単に大金を稼げる仕事はありません。
甘い誘惑に惑わられず、冷静に判断することが大切です。
闇バイトに関わることは、犯罪に加担するだけでなく自分自身も詐欺に遭うなど様々なリスクがあります。
大金を稼ぎたいという気持ちは誰しもありますが、方向性を間違わないことが重要です。
少しでも闇バイトの恐れがあるものには決して手を出さないようにしましょう。